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飛び上って出て行こうとすると、佐川が、

オレが遠くに行きたいと思ったのは、たぶん里奈のせいだ。別に里奈に振られてショックを受けたわけじゃない。おそらく勃起のせいだ。オレはこれまでにどんなハードな絡みの撮影を見ても勃起したことがなかった。仕事だと割り切っていたからだ。だから、厭らしいくらいの絡みが眼の前で繰り広げられても勃起しなかった。しかも、オレが勃起したのは里奈の下半身を見たときではない。カットの声がかかり、里奈がため息をつきながら、オレを見たのだ。その濡れた瞳にオレは勃起した。オレは考えた。どうして、オレは里奈の瞳に勃起したのだろう。いくら考えても答えは出なかった。

途中にあるバラックから灯が洩れ、ラジオの歌が聴こえていた。

「小杉さん。」

*この弱点を指摘したものの内で代表的と考えられるのは、カッシーラーである(Cassirer[#「Cassirer」は底本では「Gassirer」]-SubstanzbegriffundFunktionsbegriff-S.292f参照)。

「阿呆!貴様のような阿呆のこと、いつまでも覚えてられるか。あはは……」

B――そんな考え方は虫螻の考え方なのだ。存在というものだけを知って、生活というものを知らないのだ。

所有権から利用権への推移

「おかしいな、私は其処の蕎麦屋の前で一緒になつて、やつて来て、棚に酒があるといつて、女が取らうとしたが棚が高くて取れないから、私が取つてやらうとすると、女が凭れかゝつて来る拍子に、其処の天井からさがつてる青い紐が首へかゝつて、それつきり知らなくなつたんですが、」

これがつまり、実際的に見て、一国の文化水準如何によつて定まる問題なのである。そして、時代の演劇をしてある水準を保たしめる原動力は、国家の積極的インテレストが加はつて、はじめて目立つた効果を収め得るものであるといふ証拠になると思う。

しかし、彼等は隊長の酒の肴になるためにのみ応召したのではない。――というのは、つまり隊長に言わせれば、

このような自由芸術としての学問は他の自由芸術から区別されねばならないが、今は、最も広い意味に於ける詩――それは学と最も密接な関係を有つ――から之を区別すれば足りる。詩は或る意味に於て学問と非常に似ているであろう。詩は想像に基くとよく云われるが、学問も亦特にそれなくしては研究を進めることが出来ない。丁度事物への感覚――その働きの一つが実は想像と呼ばれるものに他ならない――を欠いた詩が感傷に終らなければならないと全く同様に、感覚なき学問は単なる博識に終るであろう。学問がimaginatioに基くという言葉は茲にもその意味を有つ(一例としてデカルトを挙げよう*)。そればかりではない、或る特定の学問は詩と全く同じ能力に基き同じ使命を有つとさえ考えられる。「哲学は芸術と全く同じく生産的能力に基く。」「平俗な実在から逃れ出る道はただ二つである、吾々を観念界に移す処の詩と、吾々の眼前の実在界を全く消滅せしめる処の哲学と**。」併しながらそれにも拘らず人々は無論両者の間の重大な区別を見逃してはならない。両者がたとい同一の生産的能力に基いても、両者は已に「生産能力の方向を異にしている***」のでなければならないからである。そして或る他の一つの意味に於ては、却って詩ほど学問を遠ざかっているものはないであろう。詩は想像に基くと向に云った。処が学問は之に反して、今の場合の意味に於ては想像に基くのではなくして、正に理性に基くのでなければならないと考えられる***。そして理性は想像とは正反対な概念であるであろう。事実人々は、学問と詩との乖離を嘆き、又学問と詩との分離を誇る。さてこの両つのものの区別の原理は何処にあるのか。人々は知識(認識)概念をかりてこの区別の標準を求めるかも知れない。併し吾々は学問性の概念の有無を以て之に答えることが出来る筈である。その分析を吾々は前にすでに行なっておいた。

そして、そわそわと逃げるように立ち去った。顔に靴墨の跡を残したまま。

ひょうきんな、落語家らしい言い方だったが、言っているうちに、赤井も次第に昂奮して来て、
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